「mosaic10周年記念 ギャラリスト クロストーク」と題して、広島市のギャラリスト3名の方からお話を伺う授業を、横川のアートギャラリー「18帖の空間。mosaic」で行いました。
授業当日は「18帖の空間。mosaic」が10年前にオープンした日。ギャラリーにゆかりのある作家さんたちの作品展示やこれまでの軌跡を映した写真に囲まれながら、それぞれのギャラリーや美術館のこれまでの歩みや”印象に残っている過去展示“についてお話を伺いました。
「18帖の空間。mosaic」は横川にあるアートギャラリーです。代表の野田さんにこれまでに開催された展示やイベントなどをご紹介いただきました。有名なアーティストさんの作品展示から、参加型ワークショップ、写真撮影スタジオ、ポップアップストア、大学生による企画展などで活用されていて、「誰かの初めての場所、スタートアップを応援する場所にしていきたい」と話してくださいました。
またギャラリーと同時期に野田さんを中心にスタートされた「西条酒蔵芸術祭」の様子も紹介いただきました。こちらは音楽とアートで東広島市西条にある酒蔵通りをアート空間に作り出すイベントです。賀茂泉酒造にある和泉館という大きな会場を、大きな布一枚で覆うことのみで表現された作品などが印象的でした、とその時の様子も話してくださいました。
次に「gallery G」スタッフの松波さんよりお話いただきました。アーバンビューグランドタワー公開空地に地域の公共的空間として2004年に設立されたギャラリーです。
2019年に開催された15周年記念展では、これまでの軌跡をギャラリー全体に展示した企画を開催されたそう。その時の様子や掲示していた作品や資料、作家さんとやりとりしたハガキなど、スクラップブックにしたものも見せていただきました。
「gallery G」の建物や空間を生かした展覧会で松波さんが印象に残っているものを紹介いただきました。その一つがギャラリーを24時間活用して表現されたパフォーマンス作品、新庄恵依『あなたは何も見ていない』です。ギャラリーをホテルの一室に見立てて、開館時間にはパフォーマーは不在、閉館時間にパフォーマーがギャラリー内で過ごすというもの。
また、池の水が入った紙コップを床一面に1つ1つ手で並べ、中心には井戸に見立てた大きな彫刻を展示した加村隆幸『驢馬と水の入った紙コップ』、ギャラリーの建物を虫かごに見立て(ギャラリーの窓枠が虫かごに見えることから)、敷地内にある芝生広場を生かした尾身大輔『虫籠と空想』なども紹介いただきました。
最後に岩本さんからのお話です。岩本さんは広島市現代美術館で2020年4月から広報として携わっていらっしゃいます。改修工事休館中に行われていた活動や、意外と知らない広島市現代美術館のことをご紹介いただきました。
1989年に開館した広島市現代美術館は、現代美術を専門とする、日本で最初の公立美術館で、戦後の現代美術を中心に所蔵しヒロシマとの関連を示す作品や、ヒロシマをテーマとした制作委託作品を所蔵しているのも特徴だそう。貸館を行なう美術館が多いなか、広島市現代美術館では貸館は行わないこと、また学芸員さんが必ずどの企画にも携わるのは珍しく、そのため企画展は学芸員の専門領域が大きく出るのだそう。
休館中は、町なかの様々な場所で美術館のコレクションの紹介、若い作家さんの紹介や発信、市内のお店で過去の展覧会ポスター展示などを行なわれたそうです。なかでも若い作家さんの個展形式の展示を、市内のショーウィンドウ的な展示空間や休館中の活動拠点の1つ「鶴見分室101」で行なったのは、休館中ならではのことだったそう。休館中に行った企画をつうじて、これからの美術館が進む先や、リニューアルオープン後にどう展開していくかも考えていきたい、と話してくださいました。
各場所の様子をそれぞれ紹介いただいた時間でしたが、実は同じ企画でご一緒したり、作家さんを通じて交流があったりなど、3つの場所のつながりも感じることができた時間となりました。
授業終了後は、参加者のみなさんでアートの話などに花がさいていました。授業で伺った話を思い返しながら、アート巡りをしてみるのも楽しそうです。
松波さん、岩本さん、野田さん、参加いただいたみなさま、会場を提供いただいた「18帖の空間。mosaic」さん、ありがとうございました!
■松波さん、岩本さんからのお知らせ
●広島市を中心としたギャラリー、アートスペースが連携し、展覧会を同時開催する”Hiroshima Art Galleries Week”(通称=HAGW「ハグ」)が2023年のゴールデンウィークに開催されます
●広島市現代美術館が2023年3月18日にリニューアルオープン。リニューアルオープン記念特別展「Before/After」が開催されます
文・大田真奈
写真・岡本泰志
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「mosaic10周年記念 ギャラリスト クロストーク」
・日時:2023年1月13日(金)19:00~20:30
・参加費 無料
・参加人数:5人(先着順・定員になり次第締切)
・開催場所:Universal Gallery「18帖の空間。mosaic」(広島市西区横川町2丁目9-7)
ゲストトーク:野田 夏梨さん(株式会社瀬戸内ミライデザイン代表取締役/ひろしまジン大学授業コーディネーター)、松波 静香さん(gallery Gスタッフ)、岩本 史緒さん(広島市現代美術館 広報)
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