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​授業レポート

江波発!じっくりと味わう、クラフトビールの世界。

自分に合ったビールを見つけて欲しい

暦の上では春といえども、まだ肌寒い春分の日のAM11:00。 広電江波電停そばの「FuelStore」に集まったのはビール好きな大人たち。

今日の授業では、江波で小規模にクラフトビールの醸造を行うマイクロブリュワリー「Session's Brewery」の新江克樹さんを先生に迎え、ビール作りのお話を聞くだけでなく、工場見学&製造体験もさせていただきます。

授業開始と共に早速お隣の醸造所へ移動します。 しっかりと手を洗い、靴底を消毒。中へ入ると、独特な甘い香りに包まれます。

こちらではブルワーの吉松さんに教わりながら「麦芽を糖化させる」のを体験しました。

使用する麦芽は4種類(ペールモルト2種とミュンヘンとアンバー)をブレンドして挽いたもの。それぞれ一粒、試食させていただきました。香ばしくてなかなか美味。味や香りがそれぞれ違う!

麦芽をスコップですくい、釜へ入れていきます。そしてすかさず、大きな木のへらで混ぜます。これを66℃に保ち1時間ほど糖化させます。試しに麦芽を入れたばかりのものを飲むと、温かく、ほんのり甘い。という感じ。1時間後を楽しみにしましょう。

お店に戻りまして、自己紹介です。「好きなビール」も合わせて紹介します。バイツェンが好き!IPAが好き!何でも好き!と、さまざまです。

そして、ここからは座学。Session's Brewery設立の経緯や、クラフトビールについて学びます。

新江さんは、3年前にエキニシの「Sunny Day Beer」をOPENし、美味しいビールを提供しているうちに、自分たちでも造りたいという思うようになったとのこと。2018年4月に酒税法が改正され、小規模ブルワリー開業が難しくなるとのことで、法改正前の免許取得を目指して準備を進め、2月には無事取得、4月に醸造開始されました。

少ない量で色々な種類のビールを作られており、月に1回、シーズンのビールを製造。熟成させるときにドライホップの代わりに香り付けのものを入れ、さまざまな風味のビールを作るそうです。 ビールの製造方法や工程、またビールのスタイル(種類)についても詳しく教えて頂きました。(※詳しい解説はレポート最後に載せていますので、ぜひご覧ください!)

お店でつくられているビール「オイスターシティービール」ラインは、アイルランドでスタウトを濾過するのに牡蠣の殻を使っていたというのをヒントに、広島の特産でもある牡蠣の殻と身を入れて作られました。ペールエールとスタウトがあります。

Session's Breweryの定番、ラベルのイケメンが印象的な「ブルーノ」ラインはラガー、スマッシュ、シトラスがあります。スマッシュ(SMASH)は「Single Malt and Single Hop」の略で、1種類の麦芽と1種類のホップで作るIPAとのこと。

『日本ではビール=ラガーというイメージがあるけれど、自分に合ったビールを見つけて欲しい』と新江さんは語ります。

ビールの勉強をした後は、ラベル作り・ラベル貼りを体験します。今日作ったビールをオリジナルラベルを貼った瓶に詰めていただけるとのこと!ラベルを瓶に貼るだけ…なのですが、まっすぐ貼るのがなかなか難しい…。

さて、麦芽の糖化が進んだようです。再び醸造所へ。

66℃で1時間ほど糖化させた麦ジュースを試飲します。最初とは香りが全く違います。色もかなり茶色くなっています。飲んでみると…あまーーい!なんだか、ちょっと懐かしいような、ほっとする味です。

糖化具合は比重計で測ります。今の比重が1.072。これを1.074まで上げていくとのこと。同じ麦の量でも挽き方などによって変わってくるそうです。75℃のお湯をかけ、麦汁を洗いながら押し出していき、糖化釜から隣の煮沸釜へ移します。煮沸前の比重が1.045ぐらいのものを1.055ぐらいにするそうです。煮沸には消毒と共にえぐみを消すという効果もあります。

Session's Breweryでは、週に1、2回はビール作りの作業をし、その他は瓶詰めをしたり、たるを洗ったりという作業をされているそうです。

お店に戻ると、テーブルに美味しそうなビールが並んでいます。待ちに待った飲み比べtime♪ 飲み比べるのは、ラガー、スマッシュ、シトラス、スタウト、ペールエールの5種類。さっそく乾杯~!

みなさんのテイスティングの感想を紹介します。

【ラガー】香りがいい。まろやか。苦味がしっかりしている。【スマッシュ】香りも味も全然違う!【シトラス】めっちゃレモンの香り!味も!女性好み。【スタウト】

飲みやすい。コーヒーみたい。【ペールエール】スタンダード。クセが少ない。さらっとしている。今日作った!

一番人気は…今日みんなで仕込んだというのもあり、ペールエールでした。今日の感想を聞いてみると、「ゆっくりテイスティングできてよかった。」「詳しく教えてもらえてよかった。」「石見式に感動。」「いろいろ学んでますます美味しく感じる。」と、みなさんのビール愛がさらに深まったようです。

これから、暖かくなってきてビールの美味しい季節になります。 中区江波で作るクラフトビール、ますます目が離せません。

▼ビールの製造方法

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一般的には温度管理のできるステンレスタンクを使って発酵させるのですが、ポリ袋を使う「石見式」を導入し、小規模の醸造を可能にしています。また発酵機の変わりに冷蔵庫を使い、温度を上げたい時にはカメ用ヒーターを使っているそうです。

▼ビールの醸造工程 =================

ビールの醸造工程は、①糖化②煮沸③麦汁冷却④発酵⑤熟成⑥完成 と進んでいきます。ビールの材料は麦芽とホップと酵母です。

①粉砕した麦芽から糖化液をつくり、それを濾過し、麦汁をつくります。 ②麦汁を煮沸させ、嫌な香りを飛ばし、ホップで苦味付け、香り付けをします。 ③加熱した麦汁を発酵に適した温度に冷却していくのですが、ホースの中に銅管を通した自家製の冷却器を使います。銅管に麦汁を通し、その周りに水を流すことで冷やします。 ④麦汁に酵母を加え、発酵させます。高い温度で発酵させる上面発酵(エール)と、低い温度で発酵させる下面発酵(ラガー)がありますが、エールは2週間でできるのに対し、ラガーは1ヶ月かかるので、クラフトビールはエールが多いのだそうです。こちらではラガーは1種だけ作っているとのこと。 ⑤ビールのタイプによって1週間から1ヶ月以上熟成させます。ドライホップを入れ、香りや苦味をつけるものもあります。

▼ビールのスタイル

================= ビールの発酵は上面発酵(エール)、下面発酵(ラガー)、自然発酵の3種類があり、スタウト、ベールエールなどスタイルは100種類以上になるのだそう。エールタイプはビールが生まれた当時からの発酵方法で、ペールエール、IPA、スタウト、ベルジャンホワイト、バイツェンなどの種類があります。ラガータイプは温度管理ができるようになった19世紀以降に普及し、現在では世界のビールの9割がラガータイプだと言われています。 ■レポート/川成 一葉 ■写真/政田 穂積

2019年3月21日開催 江波発!じっくりと味わう、クラフトビールの世界。 先生:新江 克樹 / 株式会社セッションズ 代表取締役 教室:Session's Brewery

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