それぞれの三段峡を切り取る
ジン大初めての安芸太田町での開催。くもり空のもと、今回の授業がはじまりました。「三段峡に来たのは初めてで楽しみ」「子どもの時に来て以来」という参加者たち。今回案内してくださるのはNPO法人三段峡ー太田川流域研究会、通称「さんけん」のみなさん。三段峡や大田川流域をフィールドに生態系を学び、自然を守り、人と自然をつなげる様々な活動をされています。
三段峡は全長16kmで安芸太田から芸北の聖湖まで通じ、山水画の世界のような風景を眺めながら整備された川沿いの小道を歩くことができます。フランスの旅行雑誌「ブルーガイド」で三ツ星を獲得するなど、外国人旅行者の中でも人気が高まっているそう。
正面口から橋を渡ってまず驚くのが川の水の透明度。この日は曇りでモヤがかかっており、なんとも幻想的な雰囲気です。橋を渡ったところから「さんけんツアー」がはじまりました。さんけんでは「インタープリテーション」という手法を使って、自然のすばらしさを体験的に伝えるガイドに取り組まれています。今回のテーマは「切り取って見る」。「まずは落ち葉を切り取ります。これから歩きながら5種類の葉っぱを拾ってください」と言われ、なにが始まるのかワクワクしながら地面に落ちた葉っぱを探しながら歩きます。じっくり見ると、いろんな形、色、種類の葉っぱがあることに気がつきます。5枚ずつ拾ったところで「葉っぱジャンケン」のスタート。2人1組になり背中合わせになって、「一番大きい葉っぱ」「一番キレイな葉っぱ」「一番みすぼらしい葉っぱ」というお題に合う手持ちの葉っぱを1枚出して相手の葉っぱと比べます。次は「森のスライドショー」。黒い紙の真ん中に正方形の穴が空いているフレームを受け取り、葉っぱを挟んで観察します。普通に見るよりも光にかざすと葉脈や模様をくっきり見ることができます。途中、河原に降りて姉妹滝を下から眺め、再び遊歩道に戻って横から姉妹滝を眺めるという、三段峡を知り尽くしたガイドさんならではのコース。霧雨の中、コケを観察したり切り立った崖と木々を眺めたりしながらじっくり歩いていきます。目的地を目前に、三段峡の名物でもある渡船に乗り込みました。船頭さんが竿で川底を押して、透き通った水の上をゆったりと進みます。風流な気分を味わいながら黒淵荘へ到着。持ってきたお弁当を広げてのランチタイム。だんだん雨足が強くなってきたため、急遽黒淵荘のお座敷スペースをお借りして、午後のプログラムがはじまりました。午後のテーマは「三段峡を描こう!」ということで、絵手紙を描いて三段峡入り口にあるポストからだれかに宛てて手紙を出そう!という内容です。黙々と1時間ほどのお絵かきタイムを過ごし、ちょうど雨も上がったところで帰り道へ。
三段峡広場へ戻り、みんなが描いた絵手紙をお披露目。個性豊かに切り取られた三段峡がずらりと並びました。最後に今日の感想を一言ずつ。
「一人で歩く時とは全然ちがう三段峡を見ることができた。ガイドさんと一緒に歩くのをオススメしたい」「水がとてもキレイだったので夏に泳ぎに来たい」「水のそばを歩くのが気持ち良くてリフレッシュできた」「木と滝と岩肌がステキだった」などすっかり三段峡に魅せられた様子でした。
四季折々、様々な表情を見せる三段峡。今回歩いたのは正面口から黒淵までの約2.7km。いつか全16kmを歩いてみたいものです。
■レポート/古川 智恵美
■写真/大田 一朗
2018年10月7日(日) 開催授業 歩く、描く 秘境三段峡の秋! ・教室:三段峡(安芸太田町)
・先生:NPO法人三段峡ー太田川流域研究会(さんけん)
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