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​授業レポート

見えない壁だって、越えられる。 ~世界チャンピオンとクライミング体験!~


笑顔だから超えられる!

今回の授業はNPO法人モンキーマジック代表、世界チャンピオン小林先生をお迎えし、ブラインドクライミングの体験とNPO設立にあたっての想いを聞く授業です。 ■第1部:クライミング体験 集まった学生さんのクライミング経験は様々でしたがアイマスクをして登るブラインドクライミングはみんな初めて。少し緊張した雰囲気で始まりましたがウォーミングアップを終え、早速ブラインドクライミングに挑戦です。3人1組で一人がアイマスク着用。チームのメンバーに次に繋がるホールドを教えて貰いながら登ります。最初はぎこちなかったですがチームの仲間がどうやったら登れるか、声の掛け合いが増え、一体感がグっと増し、笑顔が見えてきました。 初挑戦ブラインドクライミングの感想は、「見えない方が意外と登れた」、「普段登っている壁が新鮮に感じる」など様々でしたが、共通した感想は「チームの仲間にホールドの位置を伝えるが難しかった」という事。 そこで小林先生からコツを伝授。 次の一手を伝える大事なポイント「HKK」 「H」:方向。「K」:距離。「K」:ホールドの形。 この3点を抑えるだけで驚くほど伝わり易くなります。 一方、ついついやりがちな「やってはいけないこと」も。 1:もどかしくても体には触れざる 見えない人がふいに体に触れられるとびっくりしてバランスを崩してしまいます。 2:グッと我慢で「ムーブ」は教えざる 「ムーブ」とは、登り方の事。次のホールドの位置や形を伝えるのは必要な事だけど、それを右手でつかむか、左手で掴むか、足を上げるかはクライマーが考えること。どうやって登るかまで言ってしまうと、それは操り人形と同じ。どう登るか考える楽しみを奪ってはいけません。 ルールとコツを抑えた後はチーム戦! 得点をつけながら壁に向かいます。みんなどうにかクライマーに伝えようと必死に声を出します。 登れても登れなくても声を掛け合い励ましあうから最後は皆が笑顔になる。そんな空間でした。 ■第2部:場所を変えて小林先生のお話 小林さんは20代の頃に「網膜色素変性症」という病で治療法がなく、いずれは失明する運命にあることを知ります。失意のうちに、次第に失われていく視力。「次は何ができなくなるのだろうか」と指折り数えるようになっていきました。 が、そんな時に出会った医師に「大切なことはあなたが何が出来なくなるかではなくて、何をしたいのか、どう生きていきたいのかです。もっと自分の道を歩きなさい」と言われ、少しずつ、自分の人生を取り戻し始めます。学生時代に情熱をかけていたクライミングを再開。全盲でエベレストに登頂したエリックに出会い、クライミングへの情熱で世界を変えようとしている姿に衝撃を受けます。そして自分も視覚障害の人へ何か伝える活動がしたいと思いモンキーマジックを立ち上げました。クライミングは健常者も視覚障害者も同じルールで行い、自分のペースで安全に楽しめる、まさにうってつけのスポーツだったのです。初めは視覚障害者向けの教室でしたが、活動を重ねるうちに和が広がり、耳の聞こえにくい人など多様な個性を持った人が集う場になりました。 だれもが楽しみながら分かち合う空間がそこにはありました。「杖をついている人」「車いすにのっている人」ではなく、その人の個性は何なのかを見ればその人と繋がる事ができる。そんな風に出来上がった「繋がり」はとても自然で笑顔が溢れるものでした。

小林さんが常に精力的に活動できるのはあらゆる可能性を自分の中に見出し、諦めずに追い求めているからです。年齢や体格、その他もろもろで自分の可能性を見ないふりをしていないか。私たちにも是非それを考えてみてほしいと問いかけます。 最後に今日一日の体験で感じた事を一文字で表します。みんなで考えた字を繋げると・・・ 「協力し合って地面から放たれると超えられて笑顔になる!」  クライミングの楽しさと笑顔の持つ力が伝わった一日でした。 今回の授業はモンキーマジックの広島版交流型イベント「もみじモンキー」のキックオフでもありました。広島でこの温かい交流の場が広がっていくといいな。 ★もみじモンキー>>> Facebookページ

■レポート/藤本 寛子 ■写真/政田 穂積

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<授業詳細>

「クライミング」って知っていますか? 赤や緑のカラフルな石のような突起に手や足をかけて登っていく…テレビ等で見たことがあるかもしれませんね。 ひろしまジン大学でも2年前に体験授業を行いました(その様子は→→コチラ) それではそのクライミングが視覚障害者(または目の見えない人)にも適しているってご存知でしたか? 今回の授業の先生は、そんなパラクライミング視覚障害者部門の世界チャンピオン小林幸一郎さん。 近年幾つもの世界大会で、金メダルに輝いたこともあるトップアスリートです。 小林さんは20代の頃に「網膜色素変性症」という病気を発症し、現在は目がほとんど見えません。 そんな小林さんは、クライマーであると同時に、フリークライミングスクールの企画運営等を行う「NPO法人モンキーマジック」の代表でもあります。 モンキーマジックは、「見えない壁だって、越えられる。」をコンセプトに、フリークライミングを通じて、視覚障害者をはじめとする人々の可能性を大きく広げることを目的に、いろいろな人がクライミングを通じて出会える「場づくり」に取り組んでいます。 今回の授業、前半は実際に見えないクライミングの体験から見えてくるものを、小林さんと一緒に探ります! そして後半は、小林さんからクライミングの魅力や、モンキーマジックの活動について、じっくり伺います。 クライミング経験のある方もない方も、視覚障害がある方もない方も、大歓迎!! 涼しくなってきた秋の週末、一緒に楽しみましょう! 【授業の流れ】 12:30~受付開始(随時着替え等) 13:00~15:30 クライミング@CERO 16:00~17:30 講義・座談@社会福祉協議会・会議室 18:00~近くの飲食店で懇親会を開催します(※ご希望の方のみ) 【定 員】

20人

【参加対象】

どなたでも

【持ち物】 ・施設使用料等 3,060円(保険は含まれておりませんので、自己責任でお願いいたします。) ・運動できる服装 ・タオル ※手足の爪が長い人は安全のため切ってきてください。 【集合時間・場所】 12:30 天神川駅前デイリー  または 13:00 クライムセンターCERO 【当日連絡先】 070-5522-9638(ひろしまジン大学事務局) ※緊急のご連絡の場合のみ、おかけ頂きますようお願いいたします。 共催:NPO法人モンキーマジック、クライムセンターCERO (授業コーディネーター 平尾順平)

<先生>

小林 幸一郎 / NPO法人モンキーマジック 代表理事

1968年東京生まれ。大学卒業後、旅行会社、アウトドア衣料品販売会社などを経て、33歳で独立。 16歳(高校2年)でフリークライミングと出会う。それまで全く運動をしていなかったが、 さまざまな環境の変化の中でもこのスポーツを止めたことはなかった。 28歳のときに眼病が発覚、将来失明するという診断に失意の日々も送るが、 その後さまざまな出会いから現在の活動を開始。 視覚障害者へのフリークライミング普及活動を行う「NPO法人モンキーマジック」代表理事。 2011年 パラクライミング世界選手権視覚障害男子B2クラス 優勝(イタリア) 2013年 パラクライミング世界選手権視覚障害男子B2クラス準優勝(フランス) 2014年 パラクライミング世界選手権視覚障害男子B1クラス優勝(スペイン) 2016年 パラクライミング世界選手権視覚障害男子B1クラス優勝(フランス)

◆NPO法人モンキーマジックオフィシャルサイト: http://www.monkeymagic.or.jp/

<教室>

クライムセンターCERO

(広島県安芸郡府中町茂陰1丁目13-46)

広島市内では唯一ボルダリング壁とリードクライミングの壁を併せ持つ本格的なクライミングジムで、スポーツクライミングのコンペが開催されることもあります。解放感のある吹き抜け2階建て建物。1階部分はボルダリング壁とリードクライミング壁、2階はボルダリング壁があります。初めての方や子供達、本格的にクライミングを始めたい方向けなど様々なスクールも開催され、リクエストがあれば自然の岩を使ったクライミングも指導して頂けます。 http://cero-climb.com

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