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​授業レポート

謹賀新年!とんど祭り

地域をつなぎ世代を越える火柱

広島市中区は神崎小学校にて行われる地元の伝統行事「とんど」に、 新年最初のひろしまジン大学の特別授業として参加しました。 スタッフとして早めに(8時過ぎくらい)に現地に行ったのですが、 早朝にもかかわらず、沢山の人が準備をされていました。 準備をしているのは「神崎小学校STAFF」ロゴのついた緑のジャケットを来た大勢の人たち。 とんどの準備は勿論、仕出しの出店など、地元の11町内会からなる子ども会などから 父兄の皆さんが準備されているそうです。 周りを見渡せばシーソーで遊ぶ子供達、 地元のおじいさん、おばあさんが笑顔で挨拶をされている風景。 「小学校」と言う場所に、「地元」の人が集う空間。 とんどが始まる前から「この日」を楽しみにしてきた地元の皆さんの雰囲気が伝わってきて、 なんだか自然と笑顔がこみあげてきます。 会場には知った顔も続々登場し、「あけましておめでとうございます!」 と、まさに謹賀新年な感じです(笑)。 あちらこちらで、神崎小学校の「とんど」に参加すべくいらっしゃった地元の方たちが、 「あけましておめでとうございます」「今年もよろしくお願いします」と新年のご挨拶。 今年で37回目を迎える同小学校でのとんどは、地元の方にとっては恒例の 欠かせないイベントになっているんだなぁ、と肌で感じます。 ジン大の生徒さんも幅広い年代の方が来られており、 50代の夫婦の方がマイ締縄を持参されていたり、 10代の女子高生や、 以前「ハーモニーの奏で方」の授業で「先生」になってくださった 山岸玲音先生が今回は生徒として参加されていたり。 「誰もが先生で誰もが生徒」と言うジン大のコンセプトにぴったり! と妙に感心してしまいました。 今回はいつものように先生がいらっしゃる授業ではなく、「地域文化体験」ということで、 平尾学長から(事前に地元の方にこっそり聞いた?)とんどについての歴史を、 開始前に軽く説明をしてもらいました。 「とんど自体は鎌倉時代くらいからある」 「広島・岡山地方ではとんど、他の地域での呼び方は場所によってまったく違っているようです」 「もともとは収穫後の田んぼ等で行われた地域の慣習行事で、ゆえに地域ごとにスタイルが異なる」など。 思えば僕も子供の頃、田舎の方でとんどをした記憶があります。 他の生徒さんに聞いてみても以前は家長である父親が山に木を切りに行き、 夜にとんどが行われていたとか(今は行われなくなったそうです)とんどにも様々な種類が! 説明の後、地元の宮司さんによる神事が行われます。 とんど神事は漢字にすると年徳神事と書き、とんど神を祀るものだそうです。 年徳神は、別名を正月神といい、年末に家に来て、門松や鏡餅などに宿り幸福や新しい年を授けるとのこと。 この時点でお餅を挟んだ長い竹の棒を片手に持って、 ほとんどの皆がマサイ族のようなスタイル(?)でスタンバイしています。 神崎小学校の校長先生など、次々と大事なお話がされる中、 大人も子供も会場中が、点火を待ち侘びて竹の棒を片手に高揚しています(笑)。 そしていよいよ火入れ。 子供も含める地域の方や役員の代表が手に持ったわら棒に火をつけ、一斉に火入れ。 そしてこれはホントに驚いたんですが、さっきまで曇ってどんよりしていた空が、 火入れの瞬間それに合わせたかのようにさんさんと日が照りだしました。 まるで今年一年をとんど神が祝福してるかのよう。 そして、瞬く間に火が燃え上がり、全長18mにも及ぶとんどが一気に燃え上がります。 「バチバチ」と、花火にも負けないくらいのけたたましい竹が弾ける音。 とんどのてっぺんの七夕状に飾ってある色紙のところまで燃え上がる様子は、正に圧巻! これぞ日本文化。 昔の人もこういう風に一年の始まりを感じてたんだな。 そういう日本人としての感性をくすぐられるような気持ちでした。 自分も日本人なんだな。現代の日本にも、とんどの文化は受け継がれてるのだと。 このような「伝統文化」を「受け継ぐ」ために、 「地元」の人々が「連携して協力」しておられるということは、 とても素晴らしいことだと思いました。 そして、火も段々落ち着いてきた頃に、 お餅を入れてください、とのアナウンスが入ります。 そして「自分の餅は自分で見守ってください!!」と。 餅つきの竹棒をもらうところに合ったマジックペンはそのため(竹に名前を書くため)だったのか!と、 その時合点がいきました。 みんなが同時に竹を火にくべているのでどれが自分の餅か分からなくなるのです。 その先に待っているのは、自分のお餅が誰かに食べられてしまうかも知れないという仁義なき餅レース(笑)。 この頃には、竹のコップに入ったお酒(お神酒)や焼き鳥・焼肉などが振舞われ、お正月のお祭りな雰囲気。 うどんやポテトの販売もありとっても美味しく、ワタクシうどん4杯も食べてしまいました(笑)。 餅が焼けるまで、地元の方にも沢山お話を聞かせて頂きます。 なかには、昨年100周年を迎えたという同神崎小学校出身の卒業生もおられました。 その方によると、戦後は一時的に別の小学校で行われることもあり、 現在の神崎小学校での開催は37回目だけど、実際はもっと古くからとんど自体はあったとか。 へぇ~。 また、近くにおられた若い夫婦の方が、特大の自家製鏡餅を焼いたのをみんなで頂きました。 こちらのご夫婦、毎年いらっしゃっているらしく、手馴れた様子でお餅を焼いていかれます。 どうりで竹棒使いが、妙にうまい! いい感じに焼けた自家製の御餅が言葉に出来ないくらい美味しかったです! 他の生徒さんも(いい感じにお酒も入って)地元の方に色々お話を聞いて聞き入っている様子。 地元の人との繋がりを強く感じられる行事は、大事にしなきゃいけないものだと強く思いました。 最後に水をかけて、火が消えるまで見せて頂きましたが、 地元の消防局や消防団の方を始めとした、地元の方々の協力があって、 はじめて成り立つ行事だと心から思いました。 神崎小学校の町内会・消防団・消防局をはじめとした関係者の皆さま、地元の皆さま、 本当にありがとうございました。 昔は当たり前だったとんどという地域文化が現代に引き継がれている。 体験授業ですが、それに参加させて頂くだけでも、大変学ぶことが多くある地域文化体験授業でした。 P.S. 「神崎」小学校は、広島でも珍しく学校名に現在の地域の名前が入っていないことから、 周辺町内による一体感が生まれ、このように地域行事が盛り上がるとの話を聞きました。 確かにあの辺りは土地的には舟入中町とか川原町の辺りですね。 近所の人とばったり会って、お餅を食べながら「今年もよろしく」と言える 「人との繋がり」が感じられる地元のイベントは、 人間関係が希薄になっている現代だからこそ、とても大事にしなきゃいけないものなんだなぁ、と、 とんどを終えて心からそう思いました。 (ボランティアスタッフ 夏目和晃)

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2011年01月09日(日) 09時30分 ~ 16時00分

教室:広島市立神崎小学校

無病息災や家内安全、学業向上などを願う伝統行事『とんど祭り』 広島市立神崎小学校で毎年行われるとんど祭りは、次回で36回目を迎えます。 神崎小学校区の地域の方々を初め、周辺の多くの人々に支えられて守られてきた地域文化である とんど祭りでは、世代や属性を超えた暖かい繋がりを感じることができます。 前日にクレーン車によって組み上げられる見事なとんどのタワーが燃える様はまさに圧巻! 竹串に刺したお餅を焼いて食べたり、竹酒をいただいたり、 古くから地域に伝わる文化を体験しながら新しい年の幸運を祈願しましょう。 【とんど祭りスケジュール】 9:30  神崎小学校前集合(ひろしまジン大学の幟が目印)      受付などを済ませます。

10:00 神事開始      空鞘神社の宮司による神事を見学します。 11:00 火入れ      とんどタワーに火が入ります。 12:00 竹串に刺した餅や竹酒が振舞われます。      また、会場内にはうどん等の売店も用意されています。(実費がかかります。)      飲食をしながら地域の方々との交流の時間になります。 15:00 消火 15:30 アンケート記入など本日のまとめ 16:00 解散 【集合場所】 神崎小学校正門前 http://www.kanzaki-e.edu.city.hiroshima.jp 【持ち物】 ※会場内出店での飲食代金は実費がかかります。 ※防寒対策は各自お願いいたします。 【注意事項】 ※とんど祭りでの飲食にかかる費用は実費となります。 ※会場内は禁煙です。 ※会場ではお酒が振舞われますが、20歳未満の方の飲酒は法律で禁止されている行為です。絶対にやめてください。また、飲酒された場合は絶対に運転をしないでください。 ※その他会場でのルールを守り、地域の方々のご迷惑にならないようにしてください。 ※また、小学校への直接のお問い合わせはご遠慮ください。 【入場】 集合場所へは、授業開始時間までに必ず集合して下さい。 なお、10分を超えて遅刻された場合は受付終了となり、 授業へ参加することが出来ませんのでご注意下さい。 当日キャンセルの場合、下記の連絡先にご連絡下さい。 【交通手段】 お車、自転車でお越しの際は、近隣のパーキングをご利用下さい。 (授業コーディネーター 河野尚子)

<先生>

街のみなさん /・_・

ひろしまジン大学の先生は、広島に関わる人たち一人一人。 みなさんが思い、暮らす「広島」を教えてください!

<教室>

広島市立神崎小学校

住所:広島市中区舟入中町1番36号 広島電鉄江波線 舟入町下車 徒歩3分 明治43年創立。広島市中区舟入町の小学校です。 今年創立100周年を迎えました。

カテゴリ:【地域文化 / 社会見学】 言 語 : 日本語のみ 定 員 :20人

参加対象:どなたでも

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