広島建築巡り ~丹下健三の軸線を歩こう~
【広島国際会議場研修室】 建築について初心者の人(何を隠そう私を含め…)、 建築関係の仕事をしている人、海外の人…etc様々な生徒さんが授業に参加。 まずは丹下健三…とは何者なのか。講師の福馬先生より説明を受ける。 丹下健三とは、 広島に縁がある、世界的に有名な建築家。 原爆が投下された直後、焼け野原になったヒロシマの街に平和公園・図書館・小学校・基町アパートなど、建築設計・都市計画を行い、戦後ヒロシマの街の復興に尽力した。 参加者一同、熱心に耳を傾け、時折質問も上がる。 丹下健三と平和公園についての説明、そしてこれから巡る軸線上の建造物のエピソードや由来に触れ、とにかく「百聞は一見に如かず」。 実際に見て体感するために、いざ「軸線」へ! 【平和公園~慰霊碑~レストハウス~原爆ドーム】 スタート地点の平和記念資料館前で、まずは全員で集合して記念撮影。 軸線上の両サイドに並び、茶目っ気いっぱいに「はい!ポーズ!!」 初対面同士の人が多く、緊張で強張っていた生徒さんの表情もほころぶ。 「地元の人間だから平和公園は身近だけど、話を聞いて見てまわると、違った視点で見ることができてとても新鮮」 「平和公園は、深いメッセージを込めて設計されていたことを初めて知った」 先生や生徒さん同士で話をしながら、慰霊碑・レストハウス・原爆ドームの順で巡ってゆく。 かつて原爆ドームは、「負の遺産」として「打ち壊す」という意見もあったそうだ。 丹下は平和公園を設計する際に、公園入り口に立った時、慰霊碑のアーチを通して、まっすぐにドームが見えるよう設計を施した。 原爆ドームを「二度と同じ過ちを繰えさない平和への願い、象徴」へと変化させたのだ。 【旧市民球場~グリーンアリーナ~基町小学校】 旧市民球場裏手のハノーバー広場には、かつて丹下の設計した図書館・動物と触れ合う公園があった。子供達の学びの場として設計されたが、諸事情により取り壊されている。 広場の向こうにはグリーンアリーナ。ライブやスポーツの大会など、多目的に利用される広島の代表的な建築物のひとつで、これも軸線上にある。 続いて基町小学校を目指し、川沿い(太田川・基町環境護岸)を歩く。空鞘橋より下流は街に、上流は山や自然に調和するよう、治水と環境の両方に配慮した環境護岸が作られ、今現在も水辺の公園として市民に親しまれている。 天気もよく、川沿いを歩くには絶好の日。 「気持ちがいいね」 「普段こういう所を歩かないけど、実際歩いてみたら楽しい」 会話が自然に生まれ、なごやかな雰囲気。 カメラを持った生徒さんは、思い思いに風景を撮影されていた。 そして基町小学校へ到着。 建築家・大髙正人により設計された小学校で、軸線上に設置され、保育園・幼稚園・小学校が一体となっている。 戦後、家を失った人や、環境護岸に簡素な家を建て暮らす人々を受け入れるため基町アパートを設計した際に、アパートに暮らす子ども達が通えるように作られたものだ。 アパートからすぐに通えるよう、アパート・基町小学校間で専用の通路が繋がっている。 【基町アパートそして屋上庭園へ】 原爆により、壊滅した街で、暮らす家のない人を受け入れるために作られた「基町アパート」。 このアパートにはいくつか特徴がある。 広島城の景観を崩さないよう配置が屏風型で、南側を低く、北側を高く設計されている。 そしてエレベーターは2階のうち1階しか停まらず、途中の階は階段で登る一風変わった作り。 そうすることによりエレベーターホールの天井を高くすることができ、ホールに住人同士で集まり交流する開放感あふれる空間を設けることができる。 また、アパート1階には飲食店街などもある。そして一歩足を踏み入れると迷ってしまいそうなくらい、アパート内は構造が意外に入り組んでいる。 人々の生活や交流の場である町=入り組んだ道や路地、単一ではなく変化ある複雑さを意図的に大髙正人はアパート内部に盛り込んだのだ。 日も傾き始め、いよいよ今回の軸線の旅、最終地点の屋上庭園へ。 庭園にたどり着いた瞬間 思わず「わぁ」と上がる歓声。 アパートの屋上から、これまで歩んできた軸線上に、夕日に染められた小学校、広場やアリーナ、ドームが並ぶ。 どの時代、どんな人が見ても、きっと感嘆してしまうような美しい景色。 それは戦後間もない当時も、今もきっと変わらない。 原爆の投下により、街は壊滅し、多くの人の命、生活が奪われた。 ゼロからの再生、 戦後の復興に尽力した、建築家やヒロシマの人々の平和へ祈りが、 今も広島の「軸線」上で息づいている。 (ボランティアスタッフ 尾川由香梨)
------------------------------------------------------------ <授業詳細>
2010年12月18日(土) 13時30分 ~ 16時30分
教室:広島市内(丹下健三の都市軸)
広島平和記念公園を訪れたとき、慰霊碑のアーチからまっすぐに原爆ドームが見えることに感動しませんでしたか? 1954年に完成した平和記念公園の設計を手掛けたのは、世界的な建築家・丹下健三氏。実は、平和公園は丹下氏にとっての実質的なデビュー作なのです。 平和記念資料館、慰霊碑、原爆ドームを結ぶ南北軸は「丹下健三の軸線」と呼ばれ、強いメッセージが込められています。 今回の企画は、この軸線に沿って歩いてみようというものです。 軸線上には他にも広島県立総合体育館(グリーンアリーナ)、市営基町アパートなどの素晴らしい建築物があります。 まちの建物にまつわる歴史や裏話を多く知る先生とともに歩くことで、新たな発見があることでしょう。 【授業の流れ】 13:00 広島国際会議場3階『研修室1』 受付開始 13:30~14:00 丹下健三と平和記念公園についての話 14:00~14:50 移動:平和公園~慰霊碑~原爆ドーム 14:50~15:30 移動:旧市民球場~グリーンアリーナ~中央公園~基町アパート 15:30~16:30 基町アパート屋上見学 16:30 基町小学校前 解散 【集合場所】 広島国際会議場3階『研修室1』 http://www.pcf.city.hiroshima.jp/icch/access.html 【持ち物】 歩きやすい服装でお越し下さい。 ※傷害保険(リクリエーション保険)加入金等として100円を頂きます。 【注意事項】 ・移動を伴うため歩きやすい格好でお越し下さい。 ・傷害保険(リクリエーション保険)加入金等として100円を頂きます ・基町アパートは住宅ですので、騒音を出さないよう注意するなど配慮してください。 ・また、基町アパートでの撮影については住宅内が写らないことなど配慮事項がありますので、当日スタッフの指示に従って下さい。 【入場】 集合場所へは、授業開始時間までに必ず集合して下さい。 なお、10分を超えて遅刻された場合は受付終了となり、授業へ参加することが出来ませんのでご注意下さい。 当日キャンセルの場合、下記の連絡先にご連絡下さい。 【交通手段】 お車、自転車でお越しの際は、近隣のパーキングをご利用下さい。 (授業コーディネーター 吉原俊朗 窪田めぐみ)
<先生>
福馬晶子 / アーキウォーク広島 スタッフ、建築ガイド
まちを歩くのが好き。まちの裏話を知るのが好き。まち歩きガイドをすると、ついつい建物にまつわる裏話をしてしまう。まちや建物に関するフォーラムやシンポジウムなどには足繁く通い、建築や都市計画関係の人脈が豊富。一級建築士。広島在住。
<教室>
広島市内(丹下健三の都市軸)
住所:【集合場所】広島国際会議場3階『研修室1』 広島市中区中島町1-5(平和記念公園内) アクセス:市内電車 「袋町」下車、徒歩約10分 「原爆ドーム前」下車、 徒歩約10分
平和記念資料館、慰霊碑、原爆ドームを結ぶ南北軸を「丹下健三の軸線」と呼びます。軸線上には他にもグリーンアリーナ、市営基町アパートなどがあります。
カテゴリ:【建築/平和】 言 語 : 日本語のみ 定 員 :15人
参加対象:建築に興味がある方/まち歩きに興味がある方など
Comments