ワールドカップ直前!広島観音サッカーからIMAGINEを学べ!
今まで、サッカーとは縁の無い生活を送ってきた。そんな私が、だ。広島観音高校サッカー部監督である畑監督の話を聞いて、自分の仕事にもっと真摯に向き合ってみよう、そう心改めさせられたのである。 会場は、先程まで「IMAGINEひろしま」の授業が行われていた広島県立美術館の地下講堂。まだ、やや熱を帯びた会場に集まったのは、男性ばかりかと思いきや、若い女性の姿もちらほら。畑監督の話が、決してサッカーファンだけを惹きつけるものではないことがそんな風景からも分かる。そして、定刻通りにキックオフ。畑監督の熱い、熱い、話が始まった。 選手として、そして監督として全国的に名高い彼のこれまでで最も大きな偉業。それが平成18年に成し遂げた、自ら率いる広島観音高校サッカー部の全国制覇だ。彼が監督として赴任する14年前までは県大会にも出場できないような弱小チームだったサッカー部を、どうして、たった10年で全国の頂点に導いたのか。 “魅力的な人間に成長させること。” 彼は、世の中のサッカー部員たちが皆必死になって掴み取ろうとするサッカーの技術よりも、人としていかに成長させるかに重点を置いた。魅力的な人間を育てるために彼がしたことは、一見すると少々型破り、でもとても人間味に満ちたものだった。 広島観音高校サッカー部の定められた練習日は、火曜日と木曜日の週2回のみ。“部活動”といえば、朝練にはじまり、放課後も土日も毎日毎日練習に明け暮れるというイメージだが。「練習日の少ない方がモチベーションも高くなり、けが人も少ないんです」と畑監督。そして、24時間自分で自分をコーディネートできる日を作るという目的もあるのだそう。大人になれば、誰もが自分で自分の事をコーディネートしていかなければならない。自分たちで考えさせることによって、選手自身の人間としての成長を図っているのだ。 ----授業はスクリーンの映像資料を使って、サッカーについて無知な私にもとても分かりやすく、進んでいく。 スクリーンには放課後の映像。学年のリーダーが畑先生のもとに、数十冊のノートの束を持ってくる。中身は、自分で考えたトレーニングメニュー。そして、プライベートな相談まで。畑先生はそのひとつ一つ、部員全員のノートに2時間かけて目を通し、コメントを書き込んでいく。なかには「どうすれば彼女が出来ますか?」なんて、高校生らしい可愛い質問も。そんな質問にも畑先生は、“僕だったらこうする、君ならどうする?”という答えを決めつけることのない回答を生徒に与える。「生徒と少しでも近付きたいという思いではじめました」と語る畑先生。こんな先生が近くにいる生徒たちは本当に幸せだなあと、心からそう思う。 選手と監督の信頼関係。どんなに華々しいプレーがあったとしても、これに勝るものはないのかもしれない。これまで、ルールも大して知らず、遠い存在に思えていたとある高校サッカー部での出来事が、とても自分の今の仕事や暮らしにリンクしてハッとした。そう、私たち働く大人の社会においても共通して言えることだ。さて、自分と身の回りとの信頼関係はどうだろう。きちんと、信頼していますか? されていますか? 前半が終わり、後半では質疑応答が始まった。次々と手が挙がる。畑先生も普段自分の生徒としっかり向き合うのと同じように、それぞれの質問に対しても熱を持ってしっかりと答えてくれた。あっという間の、熱い、熱い90分。先程までよりもさらに熱を帯びた会場を後にする生徒さんたちの満足そうな表情。畑監督は、私たちが学生時代の頃、先生が教えてくれなかったことを教えてくれたのではないか、そんなふうに思う。 (ひろしまジン大学 日高亜矢)
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2010年05月15日(土) 16時30分 ~ 18時00分
教室:広島県立美術館 講堂
2010年の今年、4年に一度、全世界が熱狂する”サッカーワールドカップ” 熱心なサポーターはモチロン日常スポーツに触れていない方も“サッカー”に出会う機会が増えるはず。 そんな2010 FIFAワールドカップが6月から南アフリカで開幕! そこで今回は広島サッカー界の重要人物、広島観音高校サッカー部畑喜美夫監督の授業を行います。 「スタメンは生徒が決める」、「全体練習は週2日」、「サッカーノートの活用」、「上手くない選手がキーマン」など、公立高校ながら全国大会常連校へと成長させた独自の育成システムで広島から日本のサッカーを変えようしている畑監督。 サッカーの魅力、人材育成における「自主性」の大切さ「IMAGINE」の大切さなどサッカー好きだけではなく、老若男女を問わず多くの興奮と感動を学ぶことが出来るはず! また、2009年にU-16日本代表コーチに選ばれるなどプロリーグとも親交の深い畑監督だから聞けるワールドカップ直前の日本代表裏話も… 2010ワールドカップサッカーを10倍楽しめる授業に? たくさんの参加をお待ちしています! 【授業の流れ】 1.観音高校サッカー部の育成理念と育成システム 2.畑監督が思うサッカーの魅力 3.畑監督から見た日本代表、注目の選手は? 4.先生に直接質問をぶつけるQ&Aタイム など。 (授業企画コーディネーター キムラミチタ)
<先生>
畑喜美夫 / 広島観音高校サッカー部監督
1965年生まれ。広島市出身。 U-17やU-20日本代表に選ばれるなど学生時代はプレイヤーとして活躍。 順天堂大学時代には、関東選手権、総理大臣杯、インカレの三冠に輝く。 その後、高校教師として指導者の道へ。 96年に広島観音高校赴任後、06年にはインターハイ全国制覇を果たすほか、 観音高校サッカー部を全国大会の常連校へ。 09年にはU-16日本代表コーチに選出。 独自の哲学による育成システムで日本サッカー界から注目される指導者の一人。 畑先生の独自の選手育成方法について書かれた『広島観音サッカー部は、なぜ強くなったのか』(MJ新書)は、サッカー関係者のみならず、会社経営者、教育関係者をはじめ多くの方々に読まれ全国の書店でもベストセラーに。 また、6月にはDVD『広島観音サッカー部・畑喜美夫のイマジネーション&シンキングフットボールのすべて』が発売予定。 広島観音高校サッカー部公式ホームページ
<教室>
広島県立美術館 講堂
住所:〒730-0014 広島市中区上幟町2-22 広島県立美術館は、昭和43(1968)年に開館。 広島市の中心部に位置し、緑ゆたかな国の名勝・縮景園に隣接した都市型の美術館。
平成8(1996)年10月、それまでの施設や内容を一新、縮景園との調和を図り、21世紀にふさわしいアメニティ性の高い美術館として新たに開館。 (1)広島県ゆかりの美術作品(2)日本とアジアの工芸作品(3)1920-30年代の美術作品をテーマに、4000点余りの美術品を所蔵、2階所蔵作品展示室で公開している。 また、3階企画展示室では、特別展を開催するほか、1階図書室や地下1階講堂などでの美術に関するさまざまな催しを通じ、県民に学習の機会を提供している。 そのほか、地階には作品発表の場として県民ギャラリーを設けて創作活動を支援するなど、広島県の芸術文化の拠点として、愛され親しまれる美術館をめざしている。
カテゴリ:【体育・コミュニケーション】 言 語 : 日本語のみ 定 員 :40人
参加対象:どなたでも。
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